旅する先生

旅する教師のつれづれを書きつくります。

私の働き方改革

多くの教員は、多忙の中で生活をしています。

 

新人のうちはとにかく授業準備で休む暇がなく、授業に慣れたベテランになってくると校務全般で休む暇がありません。さらに新人ベテラン関係なく降りかかってくる部活動顧問など、業務量の多さは常に我々の頭を悩ませます。

 

私は現在二年目の新米教員です。初年度の経験もあり二年目は多少楽になるかと

思っていたのですが、事務作業全般の量が去年の比にならないほど増えたおかげで、

むしろ初年度よりも苦しい状況になってしまいました。自然と「もしかして、このまま働くだけの一生を送るのか・・・?」という不安が生じてきます。

 

このままではいかん!と思い、今年の4月ごろに働き方改革に踏み切ったところ

そこそこの効果が上がったので、ここに書いてみる事にしました。

 

 

私のした働き方改革は「授業準備は当日朝4時から、18時を過ぎたら仕事をしない」

です。この働き方改革の結果などを書いていきます。

 

 

・内容

   1.仕事をする時間はこちらが決める

   2.普通の新社会人はミスをする

   3.朝に授業準備をする意義

   4.定額働かせ放題に成り下がらない

 

 

1.仕事をする時間はこちらが決める

 我々が激務に追われる理由の一つは単純な業務量の多さにあります。事務作業・授業準備・部活動顧問・出張や会議等の資料作成・校務分掌・成績処理・採点業務・考査の作成……数えればキリがなく、授業や担任業務を行いつつこれらの業務を定時内に終わらせるのは困難を極めます。ほぼ終わりません。

 

そこで私は、いっそのこと18時以降は仕事をしない!!仕事をしてはいけません!!と心に決めたわけです。

 

この方針で仕事を行った結果、下記のような成果がありました。

   (1)18時以降の時間は自由に使えるようになるので、プライベートの時間が

      多少なりとも取れるようになる

   (2)18時までにできるだけ多くの仕事をさばこうと考えるようになるので、

      作業効率そのものが向上する

   (3)仕事をできる時間が限られるので、失敗できない大事な仕事や締め切り

      間近の仕事など優先順位の高い仕事を優先的に片付ける仕事方針になる。

      その結果、しなくてもいい仕事を無意識に「間引く」ことができる。

 

 

我々は「仕事が多すぎる!」と文句を言いたい立場です。そのため、仕事は効率よく

ハイパフォーマンスでやった上で「終わりません」と言う必要があります。そうでなければ「作業効率が悪いから仕事が終わらないんだ」とか言われますので。

 

 また、無駄だと思う仕事も徹底的に削るべきです。現在の勤務校では一学期も終わりの頃になると「今年の目標を特定の書式に従って作成し、提出せよ(手書き)」みたいな連絡が管理職からきます。昨年度は初任だったこともあり、大真面目にビッシリ書いて期限通りに提出をしました。その年の冬、次年度の契約更新や評価についての面談を行った際、この目標書に関するフィードバックは一切なし。気になったので目標書の事を尋ねると「あくまで各々に目標を定めてもらうためにやっていることなので、細部を管理職が確認しているわけではない」と。

 

この書類について昨年度は結局年度末まで催促をされなかったため、この書類は必要なかったということになります。なのでこの書類を作成する業務は削って構わないことなので、自主的に削りました。(もちろん、”書式に従って手書きの書類を作る事”が無駄なのであって、目標を定める事自体は必要です。自分の心の中で目標をいくつか定めておいた上で書類作成業務を削る必要があります。)

 

「業務軽減のためには、学校運営上大事な仕事とそうでない仕事を常に区別しながら仕事を進める事が大事である」という仮説がこの働き方改革から見えてきました。

これは今後検証していきます。

 

※なお仕事をするのは18時までですが、生徒の最終下校(19時)までは学校にいるようにしています。 これは生徒指導やトラブル対応などが「優先度の高い仕事」と考えているためです。 ただし仕事は18時までしかやってはいけないので、18時~19時の間はネットサーフィンをしたりYoutubeを見たりするなど自由に生活しています。参考までに。

 

 

2.普通の新社会人はミスをする

 ここまで私の働き方改革を見てきた方には「授業準備や大事な書類が間に合わなかった時はどうするんだ!」と思った方もいるのではないでしょうか。

 

私自身、この改革の中でそのような事態に何度か陥りました。その時私の取った行動は実に単純明快です。

 

 

「間に合わなかったときは、謝って代替手段を探す」です。

 

 

教員業界の異常な部分の一つとして、研修の少なさが挙げられます。普通の雇用者は

従業員にミスをしてほしくないので、当然、様々な研修を行います。それは新入社員研修のような形もあれば、入社後数か月は座学で業界のノウハウを教わったり、あるいはベテラン社員と共に職務に当たるなどの形もあります。これが常識的な企業の在り方かと思います。

 

一方、教員の場合は「免許持ってるから君はプロね。今すぐ一人で授業してきて、

生徒の将来がかかってるから失敗は許されないよ、でも準備は手伝わないからね」

という状態です。

 

教員免許を持っている人なら誰もが痛感したと思いますが、教員養成課程で十分な実務経験を積むことは不可能に近いです。たかだか三週間の実習だけの実務経験と回数の

少ない研修、これらの経験だけでミスのない仕事をすることはほぼ不可能です。

だから、ミスをするのは仕方がないです。謝りましょう。

 

たとえミスをした相手が生徒であっても関係ありません。「ごめん、今日の授業は準備が間に合わなかったから、問題演習の時間にするよ」とかでも全然いいと思うんです。

彼らも部活やら遊びやら課題やらで時間を切り詰めている立場、日ごろの復習の時間をとってあげる事も時には大事だと思いますし。「分からないところをすぐに訊ける相手がいる状態で自習できる」という点でも、教員がわざわざ授業に出向いている価値があります。

※問題演習や解説にも準備が必要だ!という声が聞こえてきそうですが、専科の問題を解説できるくらいは教科の専門性として備えているべきではと考えているので、問題解説の能力は教員の自主的な研究と修養(教育基本法第9条より)の範囲で補われるべきというのが私の意見です。

 

ともかく、我々とてミスをするので出来なかったら謝って、埋め合わせ手段を探しましょう。我々の能力と仕事が見合ってないのであれば、それは自身の責任でもありますが、そんな自分を採用した管理職やその仕事を自分に振った上司なども含めた連帯的な

責任だと思います。

 

 

3.朝に授業準備をする意義

 授業準備は朝にする、これはかなり私を助けてくれました。内容としては、その日の授業内容はその日の朝から考え始めるというものです。

 

 まず第一に、寝坊の危険性が激減します。毎朝4時に起きる習慣がつくと寝坊してもせいぜい6時とかなので、全く寝坊の心配がないです。体力の限界で起きられず授業準備が間に合わなかった時は「ごめんなさい」で十分です。健康が第一ですから。

 

 さらに、朝4時から授業準備をすると正味の準備時間は3時間です。

3時間という限られた時間の中で一日全ての授業内容を考えるためには、頭をフル回転しなければなりません。結局これも、1.で述べた「作業効率の向上」を行えることになります。教材研究はやってもやってもやり尽くす事はないため、授業準備に終わりはないです。ですので、ここでも時間を自らきっちり区切る必要があります。加えて、

その日の朝に準備をするので、そのプリントや板書・スライドで自分が何を伝えたかったのかをど忘れしにくいです。一週間前に作ったスライドとかって、何を伝えようとして作ったのかを忘れちゃったりするもので。

 

 また、授業準備は当日にやると決めていれば、前日の夜が気楽です。明日の授業どうしよう、、、と夜に神経をすり減らす心配もありません。朝に全てやるんですから。

すると夜に帰宅してから就寝までは完全なる自由時間です。心のゆとりも生まれます。

 

 予想外の成果として、自分の授業準備にかかる時間もある程度把握できるようになりました。「3時間で作る」と明確に時間を意識しながら準備をするので、終了時刻から自分の授業準備にかかる時間が分かります。こうなるとかなり気が楽で「自分は授業準備に~時間かかるので、~時間前から授業準備を始めれば十分」と、時間管理が大変ラクになります。

 

当日朝に授業準備をするのは少々リスキーでもありますが、教員自身の身体的・精神的

健康を考えるとかなり使える戦略だと感じています。

 

 

4.定額働かせ放題に成り下がらない

 結局、我々の仕事が減らないのはいわゆる「やりがいの搾取」という部分が大きいです。生徒のためと思うと体が動いてしまうのは私を含めた多くの教員の性ですが、この性に従って我々が働き過ぎれば、当然雇用者側はその「働き過ぎた状態」が当たり前の状態だと認識するようになります。結果として教員全員が働き過ぎ状態の過剰労働を課せられ、有望な教員が潰れていく。また、潰れないとしても授業準備が進まず授業の質が低下してしまう。すなわち

生徒のためと思って働き過ぎる結果として有望な教員が潰れ、生徒にとって大きな不利益がもたらされる

というわけです。

有望な新人教員たちのため、そして何より自分自身のためにも、業務量や仕事との付き合い方は自分でコントロールできる範囲内にとどめる必要があります。

 

教員にとって「生徒のため」というやりがいは何より大切にすべきものですが、生徒のためにも自分たちの業務量を自分の制御下に置く工夫を凝らし、適正な業務量の中で動ける環境を自ら作っていくべきではないかと思っております。

 

 

激務に追われる我々教員ですが、こうしてオンラインで意見を発信してみたり、業務を少しでも減らせるよう工夫を凝らしてみるのも大事なのかなあ、と感じます。

 

以上、140字では書ききれない私の働き方改革でした。

 

 

 

 

 

旅を愛する先生、ブログ始めました

ブログをはじめてみました。

 

私、現職で中高の理科の先生などをしているものです。非常勤(=契約社員)です。

 

 

教員の世界はものすごーく閉鎖的で、あんまり外の社会と関わりがありません。

それゆえ我々は社会を知らないし、社会人は教員の生活を知りません。

個人のブログとして活用していくつもりではありますが、その中で教員の私生活や学校現場のリアルを世の中に発信していければなあと思ってます。

 

最近は教員の働き方改革などがたまーに話題になりますが、現場がどのようになっているのかを知らない人々にとっては「大変そうだなあ」くらいにしか思わないでしょう。

教員現場の状況があまり一般的に知られてないのも、我々の職場がブラック化している原因の一つではないかと考えています。

そのため、こうしてブログで現場の声を世の中に発信していくのは自分の職場環境を変えていく一歩になり得るかもな、なんて考えながらこの初記事を書いています。

 

 

・・・と、堅苦しい感じになっていますが、教員やってる人間の身近に起こった事を

書いていく雑記ブログです。旅の記録や趣味・私生活のお話、学校現場の話や新入試の話などが中心になっていきそうです。

 

教員になりたいと思っている方・学校内部の姿に興味がある方は、教員の現場を知るブログとして活用できます。

教育に興味がある方は、教育界や受験業界の動きを知るブログとして活用できるかと思います。

旅が好き、人の人生観に触れるのが好き、という方には僕の旅をお届けします。

 

1~2週に一回くらい更新していければいいかなあ。よろしくお願いします。